カナダのスタートアップ・エコシステムに関心を持つ起業家、大企業、投資家にとって、現地のカンファレンスやイベントは、新たなビジネスパートナーや投資機会との接点を一気に広げる場になります。トロント、モントリオール、バンクーバーを中心に、年間を通じて大型イベントから産業特化型の専門会議まで、数多くの機会が用意されています。DMZ Japanでは、日本の起業家がカナダの最新動向にアクセスし、現地ネットワークへ踏み込むきっかけとなるよう、主要なイベントを整理しました。この記事では、1. 総合・大型イベント、2. 産業特化型イベント、3. 投資・ピッチ/アワード系の3つのカテゴリーに分けてご紹介します。なお、掲載している日程や規模は各公式情報をもとにしていますが、開催直前に変更される場合があるため、参加を検討する際は必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。1. 総合・大型イベント幅広い産業を横断し、数千から数万人規模で開催される、カナダを代表するテックカンファレンス群です。エコシステム全体の空気感をつかみたい方や、初めてカナダのイベントに参加する方におすすめです。Web Summit Vancouver|5月11〜14日(バンクーバー)Web Summitが運営する大型カンファレンスです。バンクーバー・コンベンションセンターを会場に、世界100カ国以上から2万人を超える起業家、投資家、メディア、テックリーダーが集まります。AI、SaaS、フィンテック、ヘルステックなど多様な分野をカバーし、北米の中でも特に成長著しい地域のテックシーンに光を当てるイベントです。2026年の回はすでに開催を終えており、次回は2027年5月25〜28日の開催が発表されています。公式サイト:https://vancouver.websummit.com/Toronto Tech Week|5月25〜29日(トロント)市内全域で1週間にわたり開催される催しで、コミュニティ主導の独立イベントが期間中に数百開かれます。2025年の初開催で1.5万人超を集めた実績を持ちます。メインステージ「Homecoming」は5月27日に開かれ、Shopifyをはじめとするカナダを代表する企業の経営層が登壇しました。AI、フィンテック、ベンチャーキャピタル、ロボティクスといった幅広いテーマのセッションが市内各所で展開されます。2027年の日程は未発表ですが、同時期の開催となる可能性が高いと見込まれます。公式サイト:https://www.torontotechweek.com/Startupfest|7月8〜10日(モントリオール)カナダ最古のスタートアップイベントで、16年の歴史を持ちます。モントリオールの旧港(Old Port)を会場に、起業家、投資家、大企業、業界のキープレーヤーが集う、フェスティバルのような雰囲気が特徴です。最大100万ドル規模の賞金を懸けたピッチ機会が用意され、資金調達やメディア露出を狙う創業者にとって実利的な場となっています。公式サイト:https://www.startupfest.com/ALL IN|9月16〜17日(モントリオール)Scale AI(カナダのAIグローバル・イノベーション・クラスター)が主導する、カナダ最大のAIイベントです。Palais des congrès de Montréal(モントリオール国際会議場)を会場に、40カ国以上から6,500人を超える意思決定者や専門家が集まります。研究者、データサイエンティスト、投資家、そしてカナダのトップ100に入るAIスタートアップが一堂に会する場として急成長を遂げています。公式サイト:https://allinevent.ai/Elevate Festival|9月22〜24日(トロント)カナダ最大の国産テック・イノベーションイベントで、2026年で9回目を迎えます。AI、量子、航空宇宙、フィンテックといった分野を横断し、創業者、投資家、政策担当者、クリエイターが集結します。2026年版はAIや地政学的変化のなかでの「カナダの主権(sovereignty)」をテーマに掲げています。DMZもコーポレートスポンサーとして名を連ねているイベントです。公式サイト:https://elevatefestival.ca/2. 産業特化型イベント特定の分野に深く焦点を当てた専門イベント群です。自社の事業領域が明確な場合、質の高い出会いにつながります。MaRS Impact Health|4月23日(トロント)北米最大級のアーバン・イノベーション・ハブであるMaRS Discovery Districtが主催する、ヘルスケア・イノベーションのイベントです。バイオテック、デジタルヘルス、医療機器の各分野から、国際的な投資家、創業者、研究者、医療関係者が集まります。複数のサミットを束ねた週間イベントToronto Health Innovation Weekの中核を担う催しです。2026年の回はすでに開催を終えています。2027年の日程は未発表ですが、過去の開催月は4〜6月頃に集中しているので来年も同時期の開催となる可能性が高いと見込まれます。公式サイト:https://impacthealth.marsdd.com/H2O: Home to Overseas Conference|6月8〜11日(ハリファックス)ノバスコシア州ハリファックスで開催される、カナダ随一の海洋技術(オーシャンテック)セクター向けカンファレンスで、2026年で11回目を迎えます。アクアカルチャー、クリーンエネルギー、洋上風力、港湾技術など、海洋経済を支えるイノベーションを扱い、地域・国内・海外の海洋技術リーダーが、展示やパネル、B2Bミーティングを通じてつながります。大西洋カナダの海洋産業クラスターに関心がある場合に適したイベントです。公式サイト:https://h2oconference.ca/Global Energy Show Canada|6月9〜11日(カルガリー)カルガリーのBMO Centreで開催される、カナダ最大級のエネルギー見本市・カンファレンスです。3万人を超える参加者と500社超の出展者が世界100カ国以上から集まります。石油・ガスにとどまらず、再生可能エネルギーやクリーンテック、エネルギー転換に関わる技術まで幅広く扱い、業界のリーダーや政府関係者、スタートアップが一堂に会します。アルバータ州を中心とする西部カナダのエネルギー産業の動向をつかむ場として有力です。公式サイト:https://www.globalenergyshow.com/Canadian FinTech Forum|9月14〜15日(モントリオール)カナダのフィンテック領域に特化したフォーラムで、モントリオールで開催されます。銀行、保険、投資の各セクターからリーダーが集まり、技術による業界変革をテーマに議論を交わします。決済技術や規制環境など、カナダ市場でフィンテック事業を展開する際に押さえておきたい論点が扱われます。公式サイト:https://www.forumfintechcanada.com/en/homeSAAS NORTH|11月4〜5日(オタワ)カナダ最大のSaaS創業者・運営者向けカンファレンスで、2026年で11年目を迎えます。Shaw Centre(オタワ)を会場に、創業者、運営者、投資家、エコシステムパートナーなど2,500人超が参加します。AI時代の移行期にあるB2Bソフトウェアの商業化に焦点を当て、価格設定、プロダクト、流通といった実務的なテーマを扱います。公式サイト:https://saasnorth.com/MaRS Climate Impact|11月17〜18日(トロント)同じくMaRS Discovery Districtが主催する、クリーンテックに特化したイベントです。MaRS Centre(ダウンタウン・トロント)またはオンラインで、パネルディスカッションや企業デモなどが2日間にわたり開催されます。世界のクリーンテック・イノベーターが集まり、最もインパクトの大きいソリューションをスケールさせるための戦略について議論します。公式サイト:https://climateimpact.marsdd.com/Quantum Days|2027年2月17〜19日(シャーブルック)カナダの量子分野のコミュニティを結集する旗艦カンファレンスです。2026年はビクトリア(ブリティッシュコロンビア州)で2月に開催を終えており、研究者、産業界、学生、政策担当者、投資家が集まりました。次回のQuantum Days 2027は、2027年2月17〜19日にケベック州シャーブルックで開催されることが決定しています。研究の商業化やスタートアップ機会の創出を重視し、カナダの量子分野におけるリーダーシップを国内外に発信する場です。公式サイト:https://2027.quantumdays.ca/3. 投資・ピッチ/アワード系資金調達やアワードを通じた投資家との接点づくりに主眼を置いたイベントです。CIX Summit|3月25日(トロント)Elevateが主催する、カナダ最大のスタートアップアワード・投資サミットで、2026年で19年目を迎えます。トロントのDesign Exchangeを会場に、カナダの有望なアーリー・成長ステージのテック企業が、世界の投資家やアドバイザーへアピールする場となっています。600人を超える投資家や起業家が集まり、1対1のミーティング機会やキュレーションされたピッチが用意されるなど、資金調達を目指す創業者にとって実利的な場として知られています。2026年の回はすでに開催を終えています。2027年の日程は未発表ですが、例年3月の開催となっているため、来年も同時期の開催となる可能性が高いと見込まれます。公式サイト:https://cixsummit.com/カナダのイベントは、総合型で全体像をつかみ、産業特化型で深い関係をつくり、投資系で具体的な資金調達につなげる、という流れで活用するのが効果的です。日本からの参加を検討される際は、渡航スケジュールと事業フェーズを照らし合わせながら、自社に合った場を選んでみてください。